「海洋と生物ー特集 日本の頭足類研究①」@生物研究社

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タイトル:「海洋と生物」特集 日本の頭足類研究①」

発行:生物研究社
公式Webサイト:http://www.seibutsukenkyusha.com/
公式オンラインショップ:https://aquabiology.stores.jp/

主に海洋生息の生物を中心に学術的な解説を行う専門誌「海洋と生物」や、生物学・海洋学・環境学等を中心に専門書を発行している生物研究社。「海洋と生物」は諸事情により、この頭足類研究①、②の発行をもって休刊となります。非常に残念ですが、最終号に頭足類が選ばれたのは嬉しい限り。上記公式オンラインショップにて購入できます。

●特集『日本の頭足類研究(1)』  これぞ日本の頭足類研究の最前線をまとめた決定版!  近年話題になっているダイオウイカの名をあげるまでもなく,頭足類,いわゆるイカ・タコは日本人にとって古来馴染み深く,料理の食材としてはもちろん,文化や芸術にも深く関わり,われわれの生活に彩りを与えてきた。  ゲノム解析技術の発展により,関連する研究分野が大きく進展した一方,水産資源に目を向けるとスルメイカをはじめとした資源変動が世間を賑わせている。本特集をみればわかるように,頭足類研究は多くの分野にまたがりかつてないほどの広がりをみせはじめている。  本特集の執筆者は新進気鋭の若手研究者から大御所までと顔ぶれも多彩で,その専門分野も,分子生物,系統分類,集団遺伝,神経生理,繁殖生理,発生,行動生態,資源,水産業,飼育,芸術など多岐にわたる。  1円玉サイズのヒメイカから巨大なダイオウイカまで,そして,分類,生理,生態から芸術に至るまで,魅力的な頭足類研究の最前線を2号にわたりあますところなく紹介する。

(「海洋と生物」公式Webサイトより)

過去にも頭足類界のレジェンド達による良書は数多くあります。タコ関連では、頭足類研究のレジェンド、奥谷喬司氏による『日本のタコ学』『タコはなぜ元気なのか』等々。

日本のタコ学

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タコは、なぜ元気なのか?タコの生態と民俗

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しかし1冊の本として読むことはできても、研究の今をリアルタイムで垣間見ることはなかな叶いません。今回の特集は総体的に最前線を知ることができて、非常に興味深いものでした。今までごく一部のマニアックな研究者の研究対象でしかなかった頭足類研究が、日本のみならず世界的にも注目&活気を帯びている証でしょう。

個人的には「ヒョウモンダコの毒素」について初めて明解な見解を出した長崎大学のレポートが興味深かったです。ヒョウモンダコは毎年、やれ温暖化で日本列島を北上しているとか、毒を持っているのは同じヒョウモンダコ科のオオマルモンダコで、ヒョウモンダコに毒はないのではないか、という説もあり、以前から注目していました。長崎大学の発表により、個体差はあるものの、ヒョウモンダコの毒素に関する科学的な根拠が証明された事は大変有意義でしょう。

2018年に発足された「イカタコ研究会」に関する記載もあります。第一回目は鳥取県壱岐、第二回は千葉県野田市で、第三回はリモートで開催。研究者のみならず、幅広いジャンルの方々、一般人も交流できる貴重な機会です。今後の活動にも期待しています。

私は頭足類の中でもタコが好きです。きっかけはアート、オブジェから関心を持ちました。その後タコ生体そのものへの興味が増し、本を読んだり、観察したり、専門家の話を聞いたりしながら、その魅力を探求している旅の最中です。

自分でも、ここまでタコおよび頭足類に魅了されるとは思いませんでした。大人になっての学びは学生時代と違い、自分の意思で時間とお金を費やし、興味ある分野に関して探求できる利点があります。それが何かに役立つかというより、純粋な探究心で知識を広め深めていく喜びがあります。研究者や専門家でなくとも生体に魅せられる人は多く、その裾野を広げることにより、水族館のような施設、海洋資源の諸問題、海洋生物や環境に関する研究の後押しとなるのではないでしょうか。