「愛しのオクトパスー海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界」

タコカルチャー, タコ学, タコ水族館、博物館

「愛しのオクトパスー海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界」

原題「The  Soul of an Octopus」

🐙発売日
2017年 2月17日

🐙版型
四六版

🐙ページ数
352ページ

ノンフィクションの良作を数多く出版している、サイ・モンゴメリーさんのタコ本。

この本を翻訳された小林由香利さんから頂きました。ありがとうございます。

 

こちらが、今回出版された翻訳本。カバーイラストは、望月ミネタロウさん。

 

 

 

そして、こちらが以前購入していた原書。

2015年全米図書賞・ノンフィクション部門最終候補作。

 

 

 

ボストンにある、ニューイングランド水族館。ここで「アテネ」という名のミズダコと出会ってから、その魅力にどんどん惹き込まれていく著者。

展示(と呼ぶのが適当かどうか)されるミズダコたちや、タコに関わる水族館スタッフ、学者らとの交流の日々。

タコを学術的に探究するというよりも、著者が水族館のタコと実際に交流しながらタコの本質を探っていく内容が、今までに読んだタコ本と異なる印象。一般人の私たちに近い目線で惹きつけられました。

その一方、読み進めながら、タコ(及び他の生物)の生態、水族館スタッフの仕事、学者の見解、研究状況などが盛り込まれ、「ナチュラリストの著者とタコたちの交流話」にとどまらず、タコ学に関する 非常に情報量の多い読み物となっています。

私もよく タコに会いに水族館に行きます。彼らの様子は非常に興味深く、じっと動かなくても、しばらく観察していると大抵動き出します。腕をくねらせながら、吸盤を動かしながら。こちらがどんな物体(生態?)なのか確かめようとしているのか、邪魔だから威嚇しているのか。。。この本を読むと、水槽の中で、

「タコは退屈しているのではないか」
「目の前にいる相手に興味を示して、その関係性=遊び相手なのか、餌としてなのかーを模索しているのではないか」

という説を支持できます。
さらに、著者のように、タコと吸盤で交流する事に憧れます🐙

 

この本の主役たち、タコのアテネ、オクタヴィア、カーリー、カルマたちが暮らしたニューイングランド水族館は、2016 年4月にリニューアル。以前より大きくなった水槽に一匹づつ、二匹のミズダコが他の住人と暮らしているようです。水族館のフェイスブックページでも、よく紹介されていますね。

日本の水族館では飼育環境が確保しにくいのか、巨大なミズダコの飼育展示は限られているように思います。反面、マダコに関しては、蛸壺マンションを作ったり、他の生態と共存させながら 行動観察型の飼育展示をする水族館が増えてきました。

2017年3月2日には葛西臨海水族園もリニューアルしていますし、この本を読んで、また水族館にタコに会いに行きたくなりました🐙♪

 

 

著者に関する記述(出版元の亜紀書房HPより転載)

サイ・モンゴメリー Sy Montgomery 

ナチュラリスト、作家。大人向け、子供向けのノンフィクション20冊を執筆、高い評価を受けている。大人向けの『幸福の豚──クリストファー・ホグウッドの贈り物』(バジリコ)は全米ベストセラーに。オウムの保護活動を取り上げたKakapo Rescueで良質の子供向けノンフィクションに贈られる「ロバート・F・サイバート知識の本賞」を受賞。人食いトラの問題に迫ったSpell of the Tigerは彼女の仕事ぶりを追ったナショナル・ジオグラフィックTVの同名ドキュメンタリー番組の着想を与えた。アマゾンでの冒険をまとめたJourney of the Pink Dolphinsは「ラプソディーのような」(パブリッシャーズ・ウィークリー)、「心を奪われる」(ブックリスト)、「相手を知ろうとする真摯さがある」(ニューヨーカー)と評され、the London Times Travel Book Awardの最終選考に残った。その他、アメリカの動物愛護団体「全米人道協会(HSUS)」およびニューイングランド書店協会の特別功労賞、3つの名誉学位など、数々の栄誉に浴している。
現在、ボーダーコリーのサリー、放し飼いのメンドリの群れ、そして夫で作家のハワード・マンスフィールドと共にニューハンプシャー州で暮らしている。

小林由香利 Yukari Kobayashi
翻訳家。東京外国語大学英米語学科卒業。訳書にエドワード・O・ウィルソン『ヒトはどこまで進化するのか』(亜紀書房)、アート・マークマン『スマート・チェンジ──悪い習慣を良い習慣に作り変える5つの戦略』(CCCメディアハウス)、ケヴィン・ダットン『サイコパス──秘められた能力』(NHK出版)などがある。

 

出版元、亜紀書房HP。

http://www.akishobo.com/book/detail.html?id=808

 

著者サイ・モンゴメリーさんのWebサイト。

sy montgomery
http://symontgomery.com/news/[:]

 

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