タコオブジェ@黒田征太郎

タコグッズ、アート
発見日:1988年8月中旬頃

発見場所:東京 銀座 有楽町西武百貨店

作者:黒田征太郎

形態:オブジェ

素材:クレイに着色

サイズ:H 約11㎝、W約14㎝、D約5㎝

黒田征太郎さんとは

1939年大阪生まれ。1969年長友啓典とK2設立。1992年ニューヨークにアトリエを構える。1994年「野坂昭如/戦争童話集」映像化プロジェクトを開始、2004年よりPIKADONプロジェクトを展開。ストックホルム、ニューヨーク、ベルリン、上海など世界各国でライブペインティングを行うほか、壁画制作にも携わる。(「美術手帖」インタビューhttps://bijutsutecho.com/magazine/interview/promotion/23169
より)

黒田征太郎公式Webサイト:http://ku-kakiba.jp/

黒田征太郎さんは、国際的に活躍する画家、イラストレーターです。80歳を超える現在も精力的に製作活動や様々なプロジェクトに関わっています。その仕事量は膨大で、全てここでご紹介できないので、詳細は上記Webサイトでご確認下さい。現在は絵を通じて、特に次世代に平和を伝えていく活動に力を注いでいます。

黒田征太郎さんのタコオブジェとは

私tacotacoが、タコレクションの道を歩むきっかけとなった、大切なタコのオブジェです。

当時の私は、勤務していた企業の新プロジェクトメンバーとして抜擢され、張り切っていた矢先のバブル崩壊に直面。プロジェクトは消滅し突然外されたハシゴと、自身の病気の発覚で見えない将来に対して、精神的にも肉体的にもどん底の日々が続いていました。そんな中、社用で訪れた有楽町西武百貨店のクリエイター雑貨コーナーで、偶然発見したのがこのオブジェ。

当時は今と違いタコに関するアート作品、グッズ等の存在が希少状態。タコモノとして、またタコをこれだけデフォルメしたものとして、とても新鮮でした。作者が黒田さんと知ってさらに驚き。

裏面にサインが入っています。

1980年代の黒田さんは長友啓典さんと「K2」として活躍中。時代のフロントランナーの一人として注目していました。イラストはよく目にしていましたが、立体は初めて。頭に墨色の黒、腕に丸点で吸盤を表現しています。ちょこんとした口も魅力的。

しかも、このコミカルな表情。扇子のような腕を振っています。オレンジ色の台はさながらジュリアナ東京のお立ち台のよう。まるで1980年代風「ええじゃないか」。この作品が疲れた私の心に素直に響きました。

「大丈夫!」タコにそう励まされて「何があったって、ええじゃないか」「なんとかなるさ」

この時、励ましと癒しをもらった私は、突然「タコだ!」と思うのです。「タコにもっと会いたい」それが現在に続く、タコの探求、蒐集、発信の長い長い旅の始まりとなりました。

またこのタコは、2020年10月放送「又吉直樹のへウレーカ」に 私tacotacoがゲスト出演し又吉さんとタコレクション談義をした際、又吉さんが非常に興味を持ち惹かれていた一品でした。

又吉直樹のヘウレーカ!「“このタコ!”は ほめ言葉?」 – NHK

黒田征太郎さんとタコ

黒田さんは、偶発的に北九州で自身のアトリエを持ち、「門司港ドリームギャラリー」(2014年〜2018年)に携わることになります。JR門司港駅の改修工事に伴って工事フェンスが張り巡らされるのですが、その殺風景な風景を変えたい、何か面白いことがしたいと黒田さんが友人のデザイナー森田恭通さんに提案。相談するうち、北九州で獲れるブランドダコ「関門ダコ」をモチーフに絵を描こうということになりました。後にワークショップで子供達にも絵を描いてもらい、同時に門司港の歴史等を飾るギャラリーとして注目を集めました。

(https://www.gururich-kitaq.com/kitaq-tsu/kuroda/ 参照)

門司港駅工事終了後に、残念ながらこのギャラリーは終了となりました。人々を元気づけ笑顔にする、黒田征太郎さんのタコ。またどこかで、黒田さん作のタコやタコプロジェクトを拝見できることを願っています。