タコの千社札

タコグッズ、アート

先日、インターネットのオークションサイトで発見し購入した千社札4種。

通常の千社札というと、人や場所の名称が独特の文字で描かれたお名前シール的なイメージがありましたが、これは違います。上段が絵柄、下段が人の住所や苗字、屋号、店名等々。しかも黒一色でなく、木版画の多色刷りです。幅も広め。そこで千社札について、再度確認してみました。

千社札とは

千社札(せんじゃふだ) =千社詣(もう)でをする者が社殿の天井や柱に貼付(てんぷ)する札をいう。普通は長方形の紙の札であるが、木札や真鍮(しんちゅう)のものもある。自己の住所・氏名などが記されている。江戸で天明(てんめい)期(1781~89)以後稲荷(いなり)千社詣でが盛んになり、千社札が流行したという。麹(こうじ)五吉天愚孔平(てんぐこうへい)などがこれを始めたとして知られている。札は最初は手書きであったが、のちには趣向を凝らした木版刷りとなった。初めは信心から発したが、しだいに趣味的なものとなり、仲間同士が交換会を催すようになった。ここから題名納札交換納札の二つの流れができた。自己を表す住所、氏名、屋号、雅号、俗称などを「題名」というが、題名を記した札が貼(は)ってある間は参籠(さんろう)しているのと同じ功徳(くどく)を受けるという民間信仰が、題名納札を支えている。神社仏閣に札を貼ることを「札を納める」といい、貼る札は墨一色刷りを用いる。これに対し、交換を目的としたものを交換納札という。千社札文字とよばれる独特の書体をもつ文字に、絵や柄(がら)を配し、彫りから摺(す)りに至る工程のすべてに高い技術と贅(ぜい)を尽くした札がつくられて納札仲間内で交換されてきた。納札愛好者間では、「せんしゃふだ」とよばれている。また札を手の届かない高い所などに貼るのを自慢し、このため振り出し竿(ざお)と夫婦刷毛(めおとばけ)というのを使って天井などに貼り付けている。

『関岡扇令編『江戸コレクション千社札』(1983・講談社)』▽『渡部武・関岡扇令著『千社札』(1975・淡交社)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)

なるほど千社札には、墨一色刷りの「題名納札」と多色刷りの「交換納札」の2種類があったとの事で、今回購入したのは、交換を目的とした物だったのですね。千社札のサイズは一丁札(幅一寸六分=48 mm、高さ四寸八分=144 mm)、二丁札(一丁札二枚分)、それ以上と多種類あり、これらは二丁札です。

◉白鷹

◉納合 安全

地域の消防連で作製したと思われます。安全祈願でしょうか。

◉神馬

◉蛸薬師

小石川、神田という住所が見えるので東京でしょう。都内で蛸薬師といえば目黒にある「蛸薬師 成就院 http://www.jyoujyuin.jp/を表しているのでは。どのような括りで作製したのでしょうか。下段の名前一覧に「成駒屋」とあるのが気になります。追跡調査案件ですね。

このサイズの紙に多色刷りの木版画でこのクオリティーとは、職人技が光りますね。当時の千社札の多彩さは、国立国会図書館デジタルコレクションでも見ることができます。ご興味のある方は公式Webサイト:https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2609909?tocOpened=1をご覧ください。