牟田陽日個展「眼の器」
タイトル:「眼の器」 作家:牟田陽日 会期:2021年8月14日(土)〜8月25日(水) ※会期、時間に関しては変更の場合あり。下記、銀座蔦屋書店公式Webサイトをご確認下さい。 会場:銀座 蔦屋書店 協力:芸術新聞社 作家公式Webサイト:https://www.yocamuta.com/ 銀座蔦屋公式Webサイト:https://store.tsite.jp/ginza/
混沌の一年半が過ぎ二度目の夏を迎え、行き場をなくした生命力が灼熱の都市に淀んで渦巻いているようだ。共鳴するがごとく、磁器の中で躍動するのは、熱気、湿度、生い茂る草、咲いて朽ちる花、毛をよだたせる獣、水しぶき、泳ぐ魚、戯れる獅子、昇る龍。
極度に視覚的な器は百余年のうちに同化することのなかった西洋と東洋のねじれた美の経緯の後に生まれた、触れる絵画であり、試みの磁器である。
一つの器は一つの点のようなもので、それが繋がりいくつかの線となり、それらが帯になった時に私の仕事は形を現すように思う。
作品集『美の器』で表したその一つの線である描写的な色絵磁器群と、今年から取り組んでいるインテリアに擬態する思考表現であるファブリックを用いた作品シリーズを合わせ、現代と古典、芸術とサブカルチャー、あらゆる視覚美術の坩堝であるところの銀座蔦屋書店の中庭に展開する。
(銀座蔦屋公式Webサイト アーティストステートメントより)
東京銀座の商業施設「GINZA SIX」6階、蔦屋書店 GINZA ATRIUMにて開催中の牟田陽日さん個展。感染対策万全で行ってきました。
会場には新作がずらり。今回初めて目にするファブリック作品もあります。
入室と同時に天井から光が降り注ぐタイミング。神々しい雰囲気。会場そのものが、まるでインスタレーションのようにも思えます。(もちろん作品は販売されています。購入方法は、銀座蔦屋書店公式Webサイトでご確認下さい)
中央に位置する龍たち。白龍側から。
黒龍側から。これはオブジェなのだろうと全体を見ると…
なんと、クッション仕様となっています。作品タイトルは「変容の寝床」。
自然の亡霊であり翻訳物としての神獣が、現代において多義的に象徴を変容させる様を今回はアートワーク・オブジェ/工芸・インテリアのジャンルに揺らぐ形容に起こした。変転する自然環境と人との関係性を、白黒が巡るグラデーションに擬えた作品。
(作品解説より抜粋)
両サイドに龍を従えてその中央に座す(横たわる)と、まるで万物の主になったかのような気持ちになるのではないでしょうか。ただ、そこに値するかどうか、白黒の龍に試されているように思います。
・龍が乗っているファブリックがこちら。
・繊細かつ大胆な絵柄、白から黒への色彩のグラデーションが美しい。
・一列全て「えびす」器軍団。
・「えびす」=鯨の事。その昔、鯨は神様に例えられていました。
・金えびす。
・No,51:金えびす
・茶碗
・白えびす。
・No.48:白えびす
・ぐい呑
・器の中に黒えびす。
・No47:えびす
・わんばしり
・こちらは龍の器シリーズから黒龍を眺めるの図。
・今回の展示の特徴として、器の展示スペースと中央の龍たちとの高さバランスが絶妙で、様々な角度から見る楽しみがあります。
・龍の器群から、破邪獅子を見る。
・No.59:破邪獅子牡丹
・絨毯
・美しい緑釉の作品たち。
・青釉、碧釉、緑釉の作品に宿る生き物たちから銀獅子大壺を眺める。
・角度を変えると、このように絨毯を仰ぎ見ることができます。
・絨毯のタイトルは”内なる庭”。心の中の「郷」のイメージだそうです。
・No.60:Inner garden
・絨毯
・亀の甲羅には、九谷焼らしい配色を発見。
・No22:染付祥瑞金鶴亀図
・茶碗
・私のお目当、タコの器です。
・No15:祥瑞金蛸図
・ぐい呑
・タコから見る黒龍。
・タコから見る庭。
・山犬の眼。
・No.57:花と山犬
・器
・銀獅子の眼。
・No.56:破邪獅子壺
・大壺
・パンダの眼。
・No.17:染付山水大隈猫図
・茶碗
・リスの眼
・No.20:染付密林大栗鼠図
・徳利
・メガネザルの眼。
・No.05 :tarsier
・ぐい呑
・ヤマネコの眼
・No.13:花と山猫
・器
・破邪獅子の眼。
・この神獣の眼から発せられるビームにパワーがもらえそうです。
・白龍の眼。
・白でイメージする一般的な言葉:プラスのイメージ。正しさ、正義、清廉潔白、純粋、誕生等
・黒龍の眼。
・黒でイメージする一般的な言葉:マイナスのイメージ。過ち、侫悪醜穢(ねいあくしゅうわい)、不純、腐敗、滅亡等
・荒波に泡立つ日本海を思わせる器。
・No.58:泡沫
・大鉢
基本や伝統は大切にしつつも型にはまらない。あらゆる要素を内包し巻き込み融和させ進化し続けていく。表現方法が器であれ絵画であれファブリックであれ「牟田陽日」という一つのジャンルを形成していくように思えます。どんどんグローバル化していくであろう今後の進化が楽しみです。