マダコVSワモンダコ@東京湾

タコ地情報, タコ学

マダコ(真蛸)

学名:Octopus sinensis 
(注:Octopus Vulgaris(地中海・大西洋に産する種)とは別種。I.Gleadallにより2016年に改められた)
Octipus vulgaris Cuvier,1797 → Octopus sinensis d'Orbigny,1841

科名:八碗形目マダコ科マダコ属

分布:東アジア沿岸の温帯海域。大西洋、地中海等。岩場や珊瑚礁付近に生息。日本では青森県以南の日本各地に広く分布。日本海側は九州西岸にかけて、太平洋側は四国から九州にかけてと瀬戸内海で漁獲。

特徴:腕を含めた全長約60㎝。日本では重要な水産資源の一つ。体色は茶色〜赤褐色。皮膚全体に色素細胞を有し、周囲の環境や状況に合わせ体色や体形を自在に変化させる。寿命は1〜3年程度。

眼状紋が出ていない状態
眼状紋が出ている状態
ワモンダコ

学名:Octopus cyanea(Gray,1949)

科名:八碗形目マダコ科マダコ属

分布:インド洋、太平洋の温暖海域珊瑚礁域等に生息。日本では八丈島から小笠原諸島、四国から鹿児島県琉球諸島付近、沖縄県に分布。沖縄では「島蛸」の愛称で呼ばれ、食用としても重宝される。

特徴:腕を含めた体長は約100〜120㎝。眼の下に眼状紋(がんじょうもん)が浮かび上がることから名付けられたとされるが、いつも模様がはっきり出ているわけではない。体色は茶色〜赤褐色のまだら模様。マダコ同様皮膚全体に色素細胞を有し、周囲の環境や状況に合わせ体色や体型を自在に変化させる。

〜参照〜

・旬の食材百科https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fish/tako_madako.htm

・美ら海生き物図鑑(美ら海水族館)https://churaumi.okinawa/fishbook/00000425/

・神奈川県自然誌資料2013年「相模湾初記録のワモンダコ」https://nh.kanagawa-museum.jp/www/pdf/nhr34_037-039_imai_s.pdf

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東京湾は昔からマダコの産地として有名です。一時期大量発生して話題にもなりました。安定的にマダコが捕獲できるようになり良かったと思っていたのですが、どうやら様子が変化しているようです。

近年東京湾でマダコが獲れなくなったという漁師さんによると、マダコの代わりにここ2〜3年で増えたのがなんとワモンダコ。本来南海が生息域のはずのワモンダコが北上し、東京湾まで進出。もともと生息していたマダコを食らい、自身が増殖しているのだとか。(参照:2022年3月4日(金)NHK19:30放送「首都圏情報ネタドリ!」)

上記参照資料「相模湾初記録のワモンダコ」によると、相模湾真鶴でワモンダコが初確認されたのが2012年。それから10年経過し、2022年現在はさらに北上し東京湾入り口の千葉県鋸南町から富津市にかけて漁獲。確実に東京湾のマダコの住処を脅かす存在となっているようです。海水温暖化の影響とも言われています。

タコは縄張り意識が強く、喧嘩も共食いもしますが、体の大きなワモンダコが小さめなマダコを寄ってたかって喰らう図はマダコに気の毒。それだけでなく、重要な水産資源としてのマダコが駆逐されてしまうのは大きな問題です。追跡調査案件ですね。