ヒョウモンダコ@新江ノ島水族館

タコ学, タコ水族館、博物館
発見日:2016年 12月14日(水)

発見場所:新江ノ島水族館「相模湾キッズ水槽」エリアにて展示

ヒョウモン3

新江ノ島水族館HP
http://www.enosui.com/

12月9日に展示開始。
採取時は揃っていたはずの8本腕が、展示水槽で確認してみると、かなり欠損しています。

ヒョウモン1

なんだか痛々しい様子なので、係りの方にお話を伺ってみました。

採取→展示の間に既に欠損が見られたが、腕の自己再生もあるし、個体が元気だったため展示可能と判断したそうです。欠損の原因については不明とのこと。巷で言われる「ストレスのために、自らの腕を食べてしまった」かどうかは確認できないそうです。

ヒョウモンダコ

マダコ亜目マダコ科  

ヒョウモンダコ属の中の一種

Hapalochlaena fasciata

動画の後半、水槽を左下から右上に移動する際、一瞬、体色が黄色に変化して青い線が浮かび上がるのがわかります。

🐙特徴1:模様。

実は、ヒョウモンダコ属には4種類のタコがいると言われています。そのうちメジャーなのが次の2種。

ヒョウモンダコ Hapalochlaena fasciata Blue-lined Octopus

オオマルモンダコ Hapalochlaena lunulata Greater Blue-ringed Octopus

通常「ヒョウモンダコ」と言われるのは、今回 新江ノ島水族館でも展示されていた種類です。

ただ、よく新聞などの記事に載る写真で間違われやすいのが「オオマルモンダコ」

興奮時に体に表れる模様が違うのです。

ヒョウモンダコには青い線(ライン)が、オオマルモンダコには青い輪(リング)が。

模様が現れない平常時には、どちらも同じ黄土色のため見分けがつきにくい。

さらに、どちらも「ヒョウモンダコ属」には変わりがないため「ヒョウモンダコ」と表記しても間違いではない。というわけで、新聞取材でも「ヒョウモンダコ」として「オオマルモンダコ」の写真を掲載することも多々あります。

🐙特徴2:毒。

ヒョウモンダコのサイズは、体長、約10㎝。頭の大きさ、約3㎝。

見た目が小さく狙われやすいため、興奮時、危険時に体の色を黄色に変色させかつ、青い模様を浮かび上がらせて「自分は毒を持っている」アピールで敵に脅威を与えます。

実際、唾液に フグと同様のテトロドトキシンを含み、身の危険を感じると、毒入り唾を吐いたり、相手に噛み付いて毒を注入。

噛まれた生物は、しびれや麻痺、呼吸困難などにより、死亡するケースもあると言われています。ちなみに、オーストラリアでは人間の死亡例があり。日本においては過去 愛知県にて入院例はありますが、死亡例はまだ報告されていません。ただ危険には違いないので、各地で以下の注意勧告がされています。

発見時には触らないこと

噛まれてしまった場合は、流水で流しながら毒を流して安静にし、速やかに病院で診療を受けること。

死んでしまった個体にも毒があるため、食べないこと。

(参照:三重県 農林水産部 水産資源課)
http://www.pref.mie.lg.jp/SUISAN/HP/2012050428.htm

🐙特徴3分布

一般的に、ヒョウモンダコ属の生息域は、小笠原諸島、南西諸島より南〜オーストラリアにかけての大西洋、とされています。

浅瀬のサンゴ礁や岩礁に生息。

沖縄などでよく発見されるのは「オオマルモンダコ」

近年、本州近辺でも多く発見されているのは「ヒョウモンダコ」だと思われます。

よく「温暖化の影響で北上か」と話題になりますが、実際のところ本州で発見されているのは「ヒョウモンダコ」です。「オオマルモンダコ」が中国、近畿、関東、北陸地方で発見されているわけではありません。

本州での「ヒョウモンダコ」の発見情報は15年以上前からあり、静岡県にて温暖化との関係を調べた調査がありました。
しかしながら、当時は はっきりとした関連を証明できなかったようです。
「ヒョウモンダコ」と「オオマルモンダコ」の生息域が違う可能性もあります。

さらに、「ヒョウモンダコ」発見のニュースに「オオマルモンダコ」の写真が混在して、情報が混乱しているようです。このタコに関しては、さらに専門的な研究&正式な見解などが望まれますね。

🐙関連記事
2014年に大人気だった、サンシャイン水族館の展示。
こちらでも「ヒョウモンダコ」表記ですが、イラストなどでは「オオマルモンダコ」を描いていますね🐙

タコげっちゅー@「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどくてん)」